10/13 サイエンスフィクション

大学時代の友人の結婚式に呼ばれた。

彼は学部で出来た最初の友人で、部活や行動ペースは違ったけど、今日まで途切れることのない仲を泳ぐ関係だった。しかし、卒業してからは会うことはめっきり減り、連絡を取ることもほとんどなくなった。だから結婚することを知った時は月日の流れを感じずにはいられなかった。式には部活動やサークルの友人といった関係性の人が呼ばれることが多いと思うが、自分はただ同じ学部という関係性(マイメンだけど)。そんな自分を大切な節目に呼んでくれることが誇らしかった。

彼と教室で初めて会った時のことを今でも思い出せる。後に自分は軽音楽部でベースを弾き、彼は文芸部でペンを走らせお互い別の方法で学生生活を駆け抜けた。物語を書くことに青春を燃やす彼はカッコよかったし尊敬していた。文章を書くということはなんとなく硬派なイメージがあったからだ。そんな彼は卒業間際に、就職を前にこれまでの青春にケジメをつける為、お世話になった教師や先輩、同期数人に向けて言葉を綴っていた。その中の"ある友人"に向けて書かれた項の締めくくりは「君、男を見る目がないぞ!」という辛辣な言葉で終わるのだが、なんとこの言葉は不思議な力を持ち続け、卒業してから数カ月後には、"ある友人"との関係性を恋人へと変化させ、数年後にはその関係性を夫婦へと導き、ブーメランとして彼自身に返ってくることは、青春にケジメをつける為に夜な夜な執筆していた頃の彼はまだ知らない。

自分は今日の結婚式で、まるでドラマのような彼の青春を心からお祝いした。学生時代、おまえが好きだったandymori1984」が式のエンディングで流れるって俺は確信してたよ、結婚おめでとう。