5月
慣れてしまったからなのか、上手くいかないからなのか分からないが、髪を少しずつ伸ばし始めた。およそ社会人としては三角の印を与えられるだろうが、ストレスと戦う自分のささやかな抵抗だと思って見逃して欲しい。
ゴールデンウィーク最終日は滝のような雨が降った。雨の中見る鈴鹿の茶畑は趣きがあり、土砂降りの中で食べる蕎麦にも趣きがあった。蚊取り線香の豚を買って喜ぶ妻と俺の両親と一緒に鰻を食う友人が印象的な日だった。
月の中頃には東京へ。仲の良いaoniというバンドが企画をするというニュースを見たのは先月で、ゲストバンドがStereo Fabrication of Youthとのことに目を疑った。
高校生の頃、インターネットで知り合ったお兄さんに沢山バンドを教わったことがあるが、ステファブもその時に出会った。心の名盤を42枚挙げるとしたらlifedoorは大きめのジャケサイズでランクインすると思う。ヘルマンもその人に教わったんだった。
昼間に関東へ着き友人と昼飯を食べてからダラダラとゲームをしYouTubeを見た後焼肉を食べながら酒を飲み近況を話した。ニュートラルな話は意外としないもので、いるだけで日々の緊張が解けていく感覚も久しぶりに味わう。
酔った足で向かうERAで観たaoniは後半に向けて上がっていく音量とバンドの熱量が飲み過ぎて加速する尿意と比例していた。ステファブとの今日があるのは過去の自分が積極的に動いたからだと話したボーカルの山下くんと、その後放たれたFieldで俺のイメージするオルタナティブが破裂する。ステファブのライブはとても強かった。
最高の余韻の中ロクに知り合いとも挨拶せずにスーパー銭湯へ向かい、ライブ終わりが22時過ぎにも関わらず、0時半から過ぎには風呂に入り終えて眠ってしまった。
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年々、曖昧を愛するようになるのは特別なことではない。難題を顳顬に突き詰められても、堂々と答えていた頃もあったが、いよいよもう何も言えなくなってしまいそうだ。正解が無いというコンプレックスは実は元からコンプレックスでもなんでもなかった。社会の玄関を開いた時から俺なりの正解に辿り着いていたのだと思うと自浄されるよなぁ。
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自分の中の闇や光がいつ、何故、生まれたのか行きの飛行機に乗りながら考えていた。
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スキルヴィングという競走馬がレース中に急性心不全で亡くなったという。映像でも見たが、生き物の最期に触れると、関係者を思うと心が引き裂かれる。
この世にある唯一の白と黒は生き物と骸なのだろう。変動しない唯一の境界線だと思わないか。自分が目指すやり方でいつも誰よりも優しくいたいと思います。
しまなみ街道で見た景色