1/12 泣いてる怪獣

家族で外食に出た日、
酔っ払った父さんが話す言葉を聞いて、思考や態度が自分にそっくりだと気付いた。
僕の話す昔話に賛同してくれる母さん、それでも厳しく接する父さんが、疎ましく恥ずかしく、こそばゆく感じる。いつかの話は、マナーのカケラもないイタリア料理に仕上げる台風一過だった。




いつか高校の頃、家に連絡も入れずに遊びまくって、夜中に帰ってきた日に、テーブルの上に置かれた自分の分の夜飯を見て、部屋で泣いたことがあった。配慮が一つも足りてない自分が情けなく、次の日になっても一言も文句を言わなかった両親のことをしばらく考えていた。それ以来、住む場所が変わろうがこの感覚といつも待ち合わせして、バスに乗り、家に帰った。



そして家にはいつも泣いてる怪獣がいる。君もいつか、覚めない眠りに落ちて、月の裏側を流れる川面を眺め、初めて見る自分の顔を不思議そうに見つめたりするんかな。


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よく鳴く怪獣