さよならブルー

4/22

友人の結婚式に出席する為に宮崎県へ行っていた。初めての土地だったからゆっくり歩いたりしたかったがその余裕は無く、せめて散歩くらいはしたいと思い、早朝に起きて海へ散歩しに行った。
前日の土曜日から前入りしており、土曜は久しぶりの友人達と昔の話をしたりしていた。久しぶりに乗った飛行機はとても怖く、自分はもしかしたら飛行機がめちゃくちゃ苦手なのでは…と思うほどだった。土曜日も良い一日だった。
とにかく、海は曇っていて、色味は暗く、何より寒かった。海へ行くために雑木林をくぐり抜けたが、早朝の森は湿度が高く木の匂いで覆い尽くされていた。でもこのコンディションは全然辛くなくて、むしろとても良かった。とうとう朝日は見れなかったが、良い景色だった。

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朝食にクロワッサンを浴びるほど食べた。ホテルのクロワッサンって無限に食べれる気がする。
結婚式には挙式から参加させてもらい、終始を見守った。新郎はとてもいい加減な性格の持ち主で、式の予定を何も知らせないまま僕らを招集したりするのだ。そこは周りの人も理解しており許容されているから今更そのテキトー具合に辟易したりすることは全くない。しかし、結婚式で挨拶をする彼はとてもたくましく見えた。
いつだったか、過去に新郎と一緒にカラオケに行く機会があった。そこで彼は福山雅治を歌っていたが、これが全く歌えていなくて、それはもう音程がどうとかいう話ではなく、言葉の不割りが原曲とかけ離れており、その不穏さがツボで、僕はずっと笑っていた。そして、その思い出の曲が披露宴の最後で流れた。その時に、きっと彼はあの頃からこの未来を思い描いていたんだなと気付いた。そうして、彼は想像していた未来を手に入れたんだなと思うと、祝福の気持ちが心の中から溢れてきた。自分が必死に生きてきた間に友人も必死に生きていた、当たり前だけど同じ時間を生きてるんだなと、そういうことを考えた。友人代表のスピーチを読む新婦側の友人は泣きながら述べていた。きっと、手紙をしたためていた時にも涙がこぼれていたんだろう。

しかし、このテキトーな長男にテキトーな次男在り、という感じのトラブルがあった。途中の衣装替えで、新郎は兄弟二人をエスコート役に指名したのだが、この次男
もまたどうしようない奴で、指名されることなど知らず、ちょうど会場から席を外していた。幸い途中退席に使われた曲は尺が6分強ほどある大曲だったので、途中で曲が終わり新郎が座席に取り残されるという前代未聞の結末まではまだ猶予があった。とうとう曲の一番が終わり、仕方がないと思った新郎は三男を連れて会場の外へ向かい出した。会場にはかなり不穏な空気が流れていた。「このまま次男は帰ってこないのか…?」多分あの会場にいた全員がこう考えていた。その時、誰かが会場に戻ってきた次男を見つけ、指差した。それに気付いた親族が次男の名前を叫び、僕の周りにいた人も次々にその名を叫んでいた。次男はその空気に気付き、すぐに兄弟の元へ向かい、兄のエスコート役に付いた。急なトラブルもあり、逆に物凄く会場が盛り上がっていた。何もしてないし、進行に迷惑を掛けているわけだが、この時の次男はとてつもなくヒーロー感があった。

この次男の功績もあり、式は見事に予定時刻を越えてしまい、地方から来ていた僕は途中退席を余儀なくされ、空港行きのバスへ全力疾走をさせてもらった。総じてとても良い日だったと思う。最後まで居られなかったことはたしかに残念だが、不満は一切ない。"らしさ"に溢れた式だったし、これはこれできっと一生忘れられない思い出になる。改めて、今日のことを思い返し、式を挙げた夫婦二人を想像して、帰りの機内で泣いた。めでたい日だな。ホントにおめでとう。

エスコート役に選ばれていた兄弟の三男が本当にかわいかったので、一緒に写真を撮った。お前も男三兄弟の末っ子か、一緒だな。
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